学会報告・最新医療情報

2018.02.26

内視鏡機器取り扱い講習会(基礎編)

内視鏡機器取扱い講習会(基礎編)

 

先日、内視鏡機器取扱い講習会(基礎編)に参加し、内視鏡機器に対する「原理、構造、維持、消毒など」の取扱いに関する講義を受講してきました。

内視鏡機器は精密なため、取扱いには十分な注意が必要です。そして、正確な内視鏡診断や治療を行うためには、内視鏡機器の正しい取扱いも重要となります。

内視鏡機器の機能と原理を把握したうえで、各種機能の点検を実施し安全で安心出来る内視鏡検査が行われるように、今後も努めていきたいと感じました。

また、日々の事前点検をスタッフ間で共有していく必要性を改めて学ぶことが出来ました。

当院でもスコープ挿入部の外観点検や湾曲機構の点検、吸引及び送気・送水機能の点検を日々の検査前後に全スタッフ間で統一して行っております。また、オリンパス担当者とも連携をとり定期点検を行いアドバイスに沿ってトラブルの早期発見・対応に努めています。

今後も検査前後の点検や定期点検をしっかりと行い、トラブルを未然に防ぎ機器の維持管理が出来るように努めていきたいと思います。

ガイドラインに沿った基礎的な洗浄・消毒・滅菌方法についても再確認することが出来ました。当院でも医師・看護師間でのマニュアル統一化をはかり実施しております。

経鼻用のスコープは5㎜程度の極細チューブのため、使用後の洗浄及びすすぎが不十分の場合は汚れによって詰まる場合があります。当院でも何度か目詰まりを起こしてしまい、その都度洗浄方法を見直してきました。酵素系洗浄剤にスコープ全体を浸漬させ、全管路内が洗浄剤で満たされるようにし、浸漬時間を5分以上行うことで継続的なトラブル回避に繋がり効果を得ることが出来ました。また、リユーザブル処置具の滅菌についてはガイドラインに沿って行っております。しかし、滅菌後に処置具の破損トラブルが短期間に何度も起こるトラブルがありました。処置具の乾燥時間を長くしたり、オートクレーブ装置の取扱いを見直すことで継続的なトラブル回避に繋がり、こちらにおいても効果を得ることが出来ました。今後も安全で安心出来る内視鏡検査が出来るように努めていきたいと思います。

内視鏡分野における技術や医療、機器は発展していくため、その都度新しい知識を習得し身に付けていくことが必要になると感じました。

 

湘南藤沢おぬき消化器クリニック

看護師 森山

2017.09.17

医学講習会

先日、関東消化器内視鏡医学講習会に2日間参加してきました。

講師の先生方には、技師の視点からお話をしていただいたり、最近話題になっている医療情報を含めて講義していただき、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。

消化器に関する生理・薬理学、病理・解剖学、上部・下部消化管内視鏡学、感染管理学、医用工学と内視鏡検査に携わる上で必要な知識を改めて学ぶことが出来ました。学生の時に学んだ基礎医学も再度見直し振り返ることが出来、今後も専門的な知識を身に付けるためにも継続的な学習が必要になると感じました。 

内視鏡検査の前処置・検査時の使用薬剤については、副作用の面や使用薬剤の半減期を考慮し注意して観察する必要があり、今後の患者さんへの指導に役立てたいと思います。また、内視鏡室の感染対策として各種消毒液の特徴や有効濃度の理解、内視鏡の洗浄方法を理解し実施しなければなりません。各種ガイドラインも適宜改定されているため、年に1度の見直しを行い安全な内視鏡診療が行われるよう、全スタッフで遵守することが大切になると感じました。

内視鏡分野及び消化器疾患における治療・診断方法、技術はどんどん新しいものが出てきており日々進歩しております。介助に携わる者として、それに追い付いていけるよう日々学習し習得出来るよう努力していきたいと思います。また、最新の医療情報から情報収集が出来るように常にアンテナを張ることも大切になると感じました。

 

湘南藤沢おぬき消化器クリニック

森山

2017.09.04

社内講演会

 8月の8日と22日の2日間、潰瘍性大腸炎を議題に、製薬会社主催社内講演会の演者を務めさせていただきました。当院では内視鏡診断・治療と共に潰瘍性大腸炎の診療にも力を入れております。私の講演以外にも、最新の治療薬の発表などもありとても有意義な時間となりました。今後の診療に取り入れていきたいと思っております。

今回の講演では、私が携わった症例の診断方法や治療方針、治療成績などを中心に発表
させていただきました。講演資料を作成するにあたり、過去の症例を振り返ることが出来、今後の治療に役立つ作業となりました。また、医師をはじめ潰瘍性大腸炎治療薬を扱う製薬会社の方々に新しい情報を提供することで、より他部門との連携した治療が行え医療の発展に繋がると実感し微力ではありますが、この様な活動を今後も続けていきたいとそのように感じております。

潰瘍性大腸炎は毎年新たな治療薬や診断法が次々と開発されており、それに伴いクリニックで治療可能な範囲も年々広くなってきていると感じております。ますます、他部門、他医療機関の先生方との情報交換の場が必須となり、我々も最新の医療を提供するため連携を強化していきたいと思います。

2017.07.27

第8回 関東消化器内視鏡機器取扱い講習会(実践編)に参加してきました。

第8回 関東消化器内視鏡機器取扱い講習会(実践編)に参加してきました。

機器のトラブル対処法や日常点検の目的とポイントについて、機器の洗浄・消毒・滅菌について学ばせていただきました。

―スコープとシステムの点検、機器や処置具のトラブルシューティング―

日常点検により機器のトラブルを回避し、万が一トラブルが発生した時でも適切に対処し、安全に検査を実施していく必要があると考えます。そのためにも、検査に携わる看護師全員が日常点検の必要性を理解し、機器のトラブル回避方法を把握している必要があると感じます。

機器や処置具に不具合があることで、患者さんに苦しい思いをさせてしまう可能性があり、検査がスムーズに出来なくなります。そのため、トラブルを未然に防ぐことが出来るよう日々の検査前後の点検や定期点検、トラブルの早期発見・対処は重要になってくると感じます。今回学んだことを今後に活かし、内視鏡スコープや機器の点検・維持管理をしっかりと行いたいと思います。また、スタッフ間で統一した点検を実施できるように指導していきたいと思います。日々の業務に追われ、忙しい時こそ機器の取り扱いに細心の注意を払い丁寧な取扱いをしていきたいと思います。

―洗浄・消毒・滅菌について―

当院では内視鏡洗浄消毒に関するガイドラインに基づいて、当院に合ったマニュアルを作成し実施しております。すべての体液には潜在的に感染性があるものとして取扱い、使用した機器や処置具は高水準消毒液、酵素系洗剤、強酸性電解水により確実に洗浄消毒が行われています。また、周辺機器においても付着した細菌・ウイルスの殺菌、不活化が必要なため、使用機器に応じた洗浄・消毒・滅菌を行っております。内視鏡室、リカバリー室全体での感染対策を十分に行い、周囲の環境整備にも注意を払っていく必要があるため、医師・看護師間でのマニュアル実施の統一化をはかる必要があると感じます。そのためにも、各種消毒液の特徴や有効濃度の理解、感染対策の重要性を理解し実施していく必要があると感じました。検査を受けられる患者さん、及びスタッフが安全に安心して検査が出来るよう心掛けていきたいと思います。

すでに当院でも実施している点検方法や洗浄方法もありましたが、今回講習会に参加することで再確認することが出来、より一層安全に検査が実施出来るよう配慮していきたいと感じました。また、各種ガイドラインも適宜改定されているため、常に最新の情報に注意してより安全な内視鏡診療が行われるよう心掛けていく必要があると感じました。

湘南藤沢おぬき消化器クリニック

主任看護師:森山

2017.06.17

関東消化器内視鏡技師会 第20回レベルアップ講習会に参加してきました。その2

―炎症性腸疾患の内視鏡診断と治療―

炎症性腸疾患IBDの患者数は年々増え続けており、今後さらに増えることが予測されております。しかし、病状に合った適切な治療を受けることで病気の活動性を抑え、QOLを維持出来るようになってきております。講義では潰瘍性大腸炎とクローン病の疾患の特徴や内視鏡像、治療選択について学びました。また、上記に対し、内視鏡的な粘膜治癒を達成できるよう治療し評価していく必要性を学びました。

IBDに対する使用薬剤もどんどん新しいものが登場しており、当院では5-ASA製剤をはじめ、ステロイド製剤、抗TNFα抗体製剤(レミケード、ヒュミラ、シンポニー)を採用しております。私たち看護師も使用薬剤についての知識を身に付け、内視鏡的な粘膜治癒の理解を深めていく必要があると感じました。

―急性下部消化管出血について 大腸憩室へのアプローチ―

食生活の欧米化や食物繊維の摂取低下による便秘、加齢などが憩室が出来る原因とされており、年々増加傾向にあります。講義では、大腸憩室出血と内視鏡的な止血術について学びました。憩室出血に対し内視鏡で出血点を確認する際は、内視鏡の先端にアタッチメント(奥行きが深いフード)を取り付けること、ウォータージェットを使い洗腸することで出血点が発見しやすく観察や速やかな処置を行うことが出来ることを学びました。また内視鏡治療のクリップ法については、露出血管を把持するようにクリップする方法や憩室口を塞ぐように止血する方法を学びました。出血病変に対しての適切なクリップの選択及びクリップ操作をマスター出来るように手技の習得に努めていく必要があると感じました。また、術中・術後のバイタルサインの変化に対応出来るように十分な観察を行い、速やかに適切な処置が出来るように知識や技術の向上に努めていく必要があると感じました。

湘南藤沢おぬき消化器クリニック

主任看護師 森山

2017.06.17

関東消化器内視鏡技師会 第20回レベルアップ講習会に参加してきました。その1

関東消化器内視鏡技師会 第20回レベルアップ講習会に参加してきました。

消化器内視鏡に関する基礎講義では、内視鏡検査と診断、内視鏡的治療について学ばせていただきました。

―高齢者のESDについて―

食道や胃、大腸の壁は粘膜層、粘膜下層、筋層の3層からできており、癌は粘膜層から発生します。早期の病変に対して、胃カメラや大腸カメラで消化管の内腔から粘膜層を含めた粘膜下層までを剥離し病変を一括切除する治療法ESD 内視鏡的粘膜下層剥離術は、画期的な治療法として確立されております。一括切除により局所の再発率を下げることが出来るようになり、さらに顕微鏡による正確な病理診断が出来るようになります。当院ではESDは実施しておりませんが、今回講習会に参加することによりESDの治療適応、実施方法、ESDのメリット及び偶発症について学ぶことが出来ました。特に高齢者では生理的特徴を理解し、術前における十分なインフォームドコンセントと全身状態を併せて、適切な治療方針を立てる必要性を学びました。高齢者は術中・術後のバイタルサインが変化しやすくなるため、特徴を踏まえ十分な観察及び安全管理を行う必要性があると感じました。また高度な技術を必要とするため、偶発症の危険性を理解し必要な知識や技術を習得していく必要性があると感じました。

―胃・十二指腸・空腸の止血術―

消化管出血に対する止血術では、出血の原因病変、アナムネ聴取、出血に対する検査及び救急初期対応について学びました。中でも特に関心を持った内視鏡止血術がありましたので紹介させていただきます。

講義して下さった医師の病院では、消化管出血に対し内視鏡中に視野確保が困難になった時に透明なゼリー(経口補水液 OS-1ゼリー)を鉗子口から注入し視野確保を行い、止血術を行っているそうです。ゼリーで満たされた空間は透明になり、出血点が見つかりやすくとても有効な方法とされているそうです。

事前情報から出血点を予測し、安全でより効果的な内視鏡治療を工夫しながら行っていくことが大切になると感じました。

―大腸ポリープに対する内視鏡治療戦略―

近年は大腸癌が増え続けており、男女とも罹患率・死亡率ともに上位を占めております。しかし、40歳以上が対象となる大腸がん検診(便潜血検査)の受診率は25%~30%と低く問題となっております。今回受講し、大腸がん検診の受診率の低さに驚きました。藤沢市でも今月から大腸がん検診が始まりました。是非対象になっている方には検診を行っていただき、病気の予防・早期発見・早期治療を行って欲しいと思います。

大腸内視鏡検査の質を向上させるためには、腺腫検出率(ADR)を25%以上に上げ癌の発生や死亡率を低下させること、さらに検査時における盲腸到達率を90%以上に努め、ガイドラインに沿った適切な検査間隔の設定をすることが大切になることを学びました。最小の検査回数で最大の大腸癌予防効果を得るためには、ADRの向上につとめ、発見した腫瘍性ポリープの全摘出(クリーンコロン)を目指し、再発を起こさない丁寧な観察及び適切な治療が必要になることを学びました。

大腸ポリープの治療法の中にコールドポリペクトミーというものがあり、当院でも昨年から取り入れ実施しております。10ミリ以下の良性腫瘍に対して有効であり、術後の後出血や穿孔が起こりにくいため安全性が高く、完全切除率も高いと報告されております。どの治療法に関しても、看護師は切除方法の特徴と合併症についての適切な知識を持っておく必要があると感じました。またポリープの遺残が起こらないように丁寧に一括切除を行う方法(処置具の使用方法など)を改めて学ぶことが出来、今後に活かしていきたいと思いました。

湘南藤沢おぬき消化器クリニック

主任看護師 森山

2017.05.25

第37回 神奈川消化器内視鏡技師研究会に参加してきました。

先日、第37回 神奈川消化器内視鏡技師研究会に参加してきました。その中で、いくつか興味関心を持った研究発表がありましたのでご紹介いたします。

~大腸内視鏡挿入困難症例に対しての用手圧迫法の工夫について~

内視鏡挿入時の用手圧迫とは、内視鏡が進みにくい場合に、内視鏡がたわむ部位や先端部分を体外的に腹壁から押さえて内視鏡を進めやすくする介助法です。

屈曲の強い腸管の過伸展や癒着を伴う場合、また短縮が難しい場合などの挿入困難例に対しての用手圧迫はとても難しく、モニター画面をみて確認しながら行っていてもうまく用手圧迫が出来ず、内視鏡がスムーズに進まず苦痛を伴ってしまうことがあります。看護師は効果的な用手圧迫を行うためにも大腸の解剖と、内視鏡の挿入位置や形状をイメージし、圧迫する部位や手の置き方、力加減などポイントになる点を理解していく必要があると感じます。また、日々の経験の積み重ねと、施行者である医師とのコミュニケーションが大切になると感じます。

発表の中にありました婦人科手術の癒着症例や胃癌などの上腹部手術症例、肥満型の体型症例に対しての用手圧迫法の工夫は、とても貴重な学びとなり今後の検査介助に活かしたいと思いました。その内容を少し紹介させて頂きます。婦人科手術の癒着症例では恥骨の上を指先で背中側に押し、上腹部手術症例では創部を指先で背中側に押すことで効果が得られるそうです。また、肥満型の横行結腸では両手の平で臍上腹部を背中側に抑え込むか、効果がなければ上腹部を上下から挟み込むことで有効な用手圧迫を行うことが出来るそうです。

効果的な用手圧迫は、内視鏡の挿入を助け時間短縮にも繋がり、さらに患者さんの苦痛を緩和させるため、介助に入る看護師は技術の習得が出来るよう日々努力していく必要があると感じました。

~内視鏡介助者の新人教育における技術・知識向上の工夫~

こちらの表題に関する沢山の研究発表があり、内視鏡検査説明をマニュアル化している所、技術チェックリストを活用し実施・評価している所など、参考になる点がいくつかありました。

当院でも内視鏡介助未経験の看護師に対し、マニュアルに基づいた指導及び、注意事項の口頭指導、一人ひとりの技術の習得状況に合わせた段階的な指導を日々行っております。また、検査前の事前説明に関しては受付を含め全スタッフが説明出来るように繰り返し指導を行っております。

患者さんが安心して安全・安楽に検査を受けられるように、スタッフ全員で連携をとり介助していく必要があると感じます。そのためには、安全で安心できる環境づくりや専門的な知識・技術の習得が必要になると思います。限られた業務時間内での指導の難しさもありますが、内視鏡介助に携わる看護師全員が専門知識や技術の向上につながるよう日々自己研鑽し、努力していく必要があると感じました。

今回の研究会で得た学びを、今後に活かしていきたいと思います。

湘南藤沢おぬき消化器クリニック

主任看護師 森山

2017.05.21

第39回日本消化器内視鏡学会総会 その3

※内視鏡医の客観的な技術評価基準ADR(Adenoma detection rate)の向上を目指して

近年、大腸内視鏡での検診が叫ばれる中、内視鏡医の技術向上が注目されてきました。しかし、その客観的な評価基準というものは明確には有りませんでした。表題にもありますADRは、欧米で最も用いられている評価基準で、本学会では日本での算出方法について議論されていました。ADRというものは、内視鏡医のAdenoma(癌になりやすい良性腫)発見率です。ADRが高い程、内視鏡医の技術が高いとされています。当院では、ADRを算出し40%以上を維持しております。(大腸内視鏡検査全例に対するAdenoma発見率で算出※検査目的、年齢にばらつきがあるためバイアスを含んだ結果であります。40%は高い水準と捉えられております。)今後もADR値を算出し自分自身を客観的に評価し、その向上に努めたいと思います。本学会でエンドカフという内視鏡の先端につけるカバーがADR向上に有用というデータがありました。当院でもエンドカフを導入しており今後も活用していきたいと思っております。

※潰瘍性大腸炎治療の現状

潰瘍性大腸炎(以下UC)は患者さんのQOLを非常に下げ、内視鏡医としても、何とかよくしてあげたい病気の一つです。治癒する道筋として、「粘膜治癒」が最も大事でそれに向けて治療を行います。

UCの第一選択薬である、5-ASA(アサコール、リアルダ)は、活動期のUC患者様には一気に高濃度で服用してもらう事が治療成績を有意に上げることが発表されていました。薬の粘膜内濃度が効率よく上昇するというデータもでており、エビデンスがはっきり示されておりました。1日1回で服用するのは大変ですが、積極的に1日1回投与を促していきたいと思います。

ステロイド治療は、上皮再生を妨げますが、強い炎症、活動期には有用な薬剤です。ただし、長期にわたる使用は様々な合併症を引き起こしますので漫然と使用することは避けなければなりません。

バイオ治療、抗体製材(レミケード、ヒュミラ、シンポニー)はアサコール不適応患者様には非常に有用な治療薬であります。しかし、癌の既往のある方には選択できず、また、薬剤使用期間に明確なガイドラインが制定されておりません。有効な治療ではありますが、私は慎重に使用を判断していきたいと考えております。

その他、免疫抑制剤等も選択薬として有りますが、外来で投与するにはリスクが伴います。外来でできる治療を出来るところまで施したい、この様に考えております。

※新しい腸内洗浄薬~患者様にやさしい大腸内視鏡検査を目指して~

大腸内視鏡検査の前処置として必要なのが、腸内洗浄です。この腸内洗浄は大量の洗浄薬を服用しなければならなく、大変苦しい、辛いと感じる方が多いです。

従来の薬剤は1.5ℓ~2ℓ近くを服用しなければなりませんでした。今回の新薬は全量で300mlの服用で下剤可能となりました。また、味も飲みやすいようです。

当院でも導入していく予定です。関連ホームページはこちらhttp://www.picoprep.jp/howto/

今後も画期的な、患者様に優しい腸内洗浄薬の開発を望みます。

学会で得たものを実際の臨床に反映していきたいと考え、信頼される最先端のクリニックにして行ける様、日々研鑽を積んでいく所存です。

湘南藤沢おぬき消化器クリニック

院長 小貫 建一郎

作成協力者

臨床検査技師 小貫 章子

2017.05.21

第39回日本消化器内視鏡学会総会 その2

※新技術コールドポリペクトミー(焼かないでポリープを切除する)とクリーンコロン(腸内のポリープを全て取り除く)について

約一年前より臨床の場でも導入されるようになったコールドポリペクトミーという技術は、最近では新聞などのメディアに取り上げられる程患者様にも身近なものとなりました。

当院でも昨年から取り入れております。ポリープを治療する上で術者が最も気を付けなければならない合併症は、切除後の後出血です。従来の焼切る方法は、どうしても後出血の確率を上げてしまいます。このコールドポリペクトミーという方法は、従来の方法に比べ後出血の確率が限りなくゼロに近いという結果が本学会でも発表されておりました。また、切除を行うまでの工程が少ない事で短時間でポリープ切除可能となり、腸内のポリープを1回の検査中に全て切除することを容易にしました。この、大腸内のポリープを全て取りきるということをクリーンコロンと呼びますが、このクリーンコロンは大きくその後の再発、発がん率を下げるという結果が出ております。有用な技術であることは言うまでもないですが、欠点があることも論じられております。従来の方法に比べ、よりマージンを取って切除することが難しく、腫瘤の一部を取り切れない事がありこの点は非常に問題視されております。そこで今回の学会でも、コールドポリペクトミーを施行する基準について激しく議論されておりました。基本的には10ミリ以下のポリープで、良性腫と内視鏡所見で検査医が診断したもののみ施行するべきとの考えが多くみられました。私自身も、上記と同じ認識を持っており癌が疑われるポリープには絶対にコールドポリペクトミーを施行しませんし、大きさのボーダーラインとして7ミリ以下としております。この新技術は、大変画期的ではありますが、発展途上中の技術でもあります。エビデンスに基づいたガイドライン制定が必要であり、術者は治療を選択する際に慎重でなければならないと感じております。

2017.05.21

第39回日本消化器内視鏡学会総会に参加してきました。その1

第39回 日本消化器内視鏡学会総会に参加してきました。

こんにちは。5月といえば、内視鏡学会の時期です。今年も参加してまいりました。

内視鏡分野は、急速に成長をしており1年間でまた随分と研究が進んだという印象を受けました。とりわけ、この消化器内視鏡学会は最先端の医療や技術を吸収できる場であります。

専門クリニックとして、患者様にとって何が大切か?

様々答えはありますが、「新しい、先端の医療を提供する事」これは上位に位置すると考えております。内視鏡専門クリニックである以上、常に医療をアップデートしてゆきたい。そのように考えております。

さて、今回の総会で話題となったお話しをご紹介させていただきたいと思います。

「胃がん検査はX線ではダメな時代。内視鏡での胃がん検診が重要であり、内視鏡医の検診レベルの向上が今後の課題。」

胃がん検診を受ける際、現在はまだまだ胃バリウム検査を行う施設が多いと思われます。数年前から、胃バリウム検査と内視鏡検査の検診の有用性については検討を重ねてきました。今回の学会で、内視鏡検査が胃バリウ検査に比べ、胃がん発見率が有意な差をもって高いということがはっきりとデータで示されておりました。つまり、胃バリウム検査では内視鏡検査に比べ、どうしても見落としが発生してしまうということです。また近年では胃バリウム検査の結果を読影できない医師が増えていることも問題となっているようです。

我々、医師が強く皆様に訴えなくてはならないのは、胃バリウム検査では不十分であること、胃がんの検診には内視鏡検査を受けるべきであることだと今回改めて感じました。

藤沢市でも、まだまだ精度管理の観点から、内視鏡による胃がん検診の実施は難しい様です。そのため、個人の心掛けが重要となってきます。

また、小さな分かりにくい胃病変を内視鏡で発見できる様、医師に要求されるガイドラインも整いつつあります。当院の機械はNBIという画期的なシステムを搭載しています。NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)とは、2つの短い波長の光(波長:415nm, 540nm)を粘膜にあてることで粘膜の微細な表面構造や毛細血管をくっきりと写し出すという技術です。がんでは周囲の粘膜とは表面の構造、毛細血管が違っているのでNBIを使うことにより「がん」が浮かび上がって見えてきます。つまりNBIシステムによりこれまで通常の観察で見逃されていたような小さな咽頭、喉頭がん・食道がん・胃がん・大腸がんも見つけることが可能となりました。

さらに今回の学会においてLCI(Linked Color Imaging)という機能を搭載した内視鏡の機械が話題になっておりました。LCIとは、2種類のレーザー光による病変観察が可能な内視鏡システムの画像処理機能です。「LCI」は、「白色光用レーザー」で画面の明るさを保ちながら、重ねて照射される「狭帯域光観察用レーザー」で粘膜内の血液のコントラストを高めた画像に対し、赤色領域の色分離が良くなる画像処理を行うものです。消化管の正常な粘膜、萎縮粘膜、発赤などを診断するうえで重要になる粘膜の色は、赤色領域に集中しています。「LCI」は、これらの粘膜色に近い色の彩度差・色相差を拡張する画像処理を行うことで、粘膜のわずかな色の違いを強調して、炎症の診断をサポートします。より分かりにくい病変(特に表在癌)をはっきりと映し出す、NBI同等の優れたシステムです。内視鏡による胃がん検診において内視鏡医の技術向上にも大きな役割を果たすと考えます。今後当院においても、導入することを検討したいと考えております。また、当院でも導入している細径経鼻内視鏡ですが、従来の胃カメラに比べかなり細いにも関わらず、技術の向上により画質が極めてよいとされています。また従来の胃カメラに比べ動きが軽やかでしなやかでもありますので、胃内の観察が隅々までできるという特徴があります。その様な万能な経鼻内視鏡でも検査医の検査の仕方で大きく違ってきます。

今回の学会でも、胃角部後壁、噴門部、体部大弯は最も見落としが発生しやすい部位というデータが大規模研究の結果出ておりました。これは内視鏡医であれば、周知の事とは思いますが、私も今以上にその点に注意ししっかりと観察、診断をさせていただきます。

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