学会報告・最新医療情報

2018.06.17

関東消化器内視鏡技師会 第21回レベルアップ講習会に参加してきました。

ヘリコバクターピロリ菌除菌治療とその後の内視鏡検査について詳しく講義していただき、今後の指導等に活かしていきたいと思いました。

  1. ①胃癌とピロリ菌感染について
  2.  胃癌とピロリ菌は密接に関係しており、胃癌の原因の99%がピロリ菌感染と報告されています。
  3. 当院でも毎年沢山の患者さんが胃カメラをされますが、胃癌と診断された患者さんのほとんどが現在又は過去にピロリ菌感染を指摘されています。
  4. 胃がんのリスクを高める要因に、ピロリ菌への持続感染の他に、塩分の過剰摂取や喫煙習慣がリスクを高めるとされています。

ピロリ菌の有力な感染経路の一つとして、口から口の親子間での感染が挙げられます。胃粘膜の防御機能の弱い10歳位までの間に感染していることが多く、成人後の感染は低いとされております。

 当院では普段からピロリ菌についての問い合わせや質問が多く、関心を持っている方が増えてきていると感じます。特にピロリ菌の検査方法や除菌治療、定期的な胃カメラの目安時期や検査の必要性、感染経路などです。

 私たちは常に情報のアップデートを行い正しい知識を持ち、患者さんへ適切な指導を行っていく必要があります。また、浸透出来るように口頭指導だけではなく、ホームページや院内掲示で解りやすく伝えていく必要があると感じています。

 

②検査方法と除菌治療、定期検査

 当院ではⅰ)血液検査で行う抗体検査(結果1週間後)の他に、当日結果が判るⅱ)尿素呼気試験、ⅲ)内視鏡検査時に行う迅速ウレアーゼ試験を採用しております。

  1. ⅰ)血液検査(抗体検査) 

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  3. ⅱ)尿素呼気試験 

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  5. ⅲ)迅速ウレアーゼ試験(組織採取)

    

どの検査方法でも、ピロリ菌が陽性と判定された場合は胃癌を見逃さないためにも内視鏡検査を行い、除菌治療を行って頂きたいと思います。一度除菌を行って成功した場合、再感染はほぼ無い(大人の再感染率0.3%)と報告されています。

しかし、『除菌をすれば癌にならない』という思い込みはとても危険です。

ピロリ菌の除菌が成功すると安心してしまい、内視鏡検査を受けなくなるケースがあります。このため、除菌をしてから数年後に胃癌が発見されるケースが増えてきております。

実際に当院でも除菌後に胃癌と診断されるケースを多くみるようになりました。

ピロリ菌を除菌することで胃癌のリスクは低くなりますが、胃癌にならない訳ではないため定期的な内視鏡検査をお勧め致します。

 ピロリ菌の除菌時に萎縮が強いほど、その後の癌発生率が高いことが報告されており、私たちは経過観察の重要性をしっかりと伝えていく役割があると感じました。また、除菌後胃癌は判断し難い場合もあり、検査時に画像強調観察技術NBI(狭帯域光観察)や色素剤インジゴカルミンの散布を行わないと病変を見落としてしまう可能性があるため、診断制度の向上に努め適切に診断する必要性があると感じました。

 

  1. ③胃がんリスク検診(ABC検診)
  2.  今月から藤沢市でも胃がんリスク検診(ABC検診)が始まりました。

    胃がんリスク検診(ABC検診)とは、ピロリ菌抗体検査と胃粘膜の萎縮を調べるペプシノゲン検査を行って胃癌になるリスクを判定する血液での検査です。

  3.  この検査では胃癌があるかを調べている訳ではないため、要精密検査が出た際は必ず内視鏡検査を行って頂きたいと思います。今回正常と判定された方も、胃癌のリスクは低いだけで胃癌がない訳ではないので、機会があったら是非無症状のうちに内視鏡検査を行って頂きたいと思います。

    早期胃癌の多くは検診によって発見されており、症状の有無に関わらず定期的に内視鏡検査を受けることが早期発見・早期治療のために最も重要になってきます。

  1. ④胃がん検診(内視鏡検診について)
  2.  今まで胃がん検診といえばバリウム検査でしたが、国の指針としてH28.4から胃カメラが実施出来るようになりました。

  3. 神奈川県でも横浜市や茅ケ崎市、相模原市など近隣の市区町村ではすでに開始されており胃がん検診の幅が増えつつあります。

  4. 藤沢市でも数年後開始されることが予測されます。胃がん検診の成果を上げるためには、各自治体、受け入れる医療機関の実施体制や管理システム整備が重要になってきます。当院でも開始された時に速やかに対応出来るように、情報収集を行うと共に将来を見据えた管理体制を整えていきたいと感じました。

 

湘南藤沢おぬき消化器クリニック 

看護師 森山

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