学会報告・最新医療情報

2017.05.21

第39回日本消化器内視鏡学会総会 その3

※内視鏡医の客観的な技術評価基準ADR(Adenoma detection rate)の向上を目指して

近年、大腸内視鏡での検診が叫ばれる中、内視鏡医の技術向上が注目されてきました。しかし、その客観的な評価基準というものは明確には有りませんでした。表題にもありますADRは、欧米で最も用いられている評価基準で、本学会では日本での算出方法について議論されていました。ADRというものは、内視鏡医のAdenoma(癌になりやすい良性腫)発見率です。ADRが高い程、内視鏡医の技術が高いとされています。当院では、ADRを算出し40%以上を維持しております。(大腸内視鏡検査全例に対するAdenoma発見率で算出※検査目的、年齢にばらつきがあるためバイアスを含んだ結果であります。40%は高い水準と捉えられております。)今後もADR値を算出し自分自身を客観的に評価し、その向上に努めたいと思います。本学会でエンドカフという内視鏡の先端につけるカバーがADR向上に有用というデータがありました。当院でもエンドカフを導入しており今後も活用していきたいと思っております。

※潰瘍性大腸炎治療の現状

潰瘍性大腸炎(以下UC)は患者さんのQOLを非常に下げ、内視鏡医としても、何とかよくしてあげたい病気の一つです。治癒する道筋として、「粘膜治癒」が最も大事でそれに向けて治療を行います。

UCの第一選択薬である、5-ASA(アサコール、リアルダ)は、活動期のUC患者様には一気に高濃度で服用してもらう事が治療成績を有意に上げることが発表されていました。薬の粘膜内濃度が効率よく上昇するというデータもでており、エビデンスがはっきり示されておりました。1日1回で服用するのは大変ですが、積極的に1日1回投与を促していきたいと思います。

ステロイド治療は、上皮再生を妨げますが、強い炎症、活動期には有用な薬剤です。ただし、長期にわたる使用は様々な合併症を引き起こしますので漫然と使用することは避けなければなりません。

バイオ治療、抗体製材(レミケード、ヒュミラ、シンポニー)はアサコール不適応患者様には非常に有用な治療薬であります。しかし、癌の既往のある方には選択できず、また、薬剤使用期間に明確なガイドラインが制定されておりません。有効な治療ではありますが、私は慎重に使用を判断していきたいと考えております。

その他、免疫抑制剤等も選択薬として有りますが、外来で投与するにはリスクが伴います。外来でできる治療を出来るところまで施したい、この様に考えております。

※新しい腸内洗浄薬~患者様にやさしい大腸内視鏡検査を目指して~

大腸内視鏡検査の前処置として必要なのが、腸内洗浄です。この腸内洗浄は大量の洗浄薬を服用しなければならなく、大変苦しい、辛いと感じる方が多いです。

従来の薬剤は1.5ℓ~2ℓ近くを服用しなければなりませんでした。今回の新薬は全量で300mlの服用で下剤可能となりました。また、味も飲みやすいようです。

当院でも導入していく予定です。関連ホームページはこちらhttp://www.picoprep.jp/howto/

今後も画期的な、患者様に優しい腸内洗浄薬の開発を望みます。

学会で得たものを実際の臨床に反映していきたいと考え、信頼される最先端のクリニックにして行ける様、日々研鑽を積んでいく所存です。

湘南藤沢おぬき消化器クリニック

院長 小貫 建一郎

作成協力者

臨床検査技師 小貫 章子

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